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Prog4you(アメリカ)に掲載された
Steven J. Mynaugh 氏によるレビュー


AUSIAは日本からの「新しい」アコスティックプログトリオである。2003年に発表された彼らのアルバム、「かさかさ」で、本当の東西融合を経験できる。私の最初の印象ではプログレッシヴロックのアルバムというよりは古典作品と感じた。
その事に少し気持ちが和らいだが、その度合いはそれ程多くは無かった。その音楽は頑なな日本の味付けの施された、早いテンポの英国民俗音楽の豊かな調和であった。
『Indian Rain』や『Kasa Kasa』に現れるような東洋周辺の影響も微かに存在する。曲の印象で私の頭に浮かんだのは、室内楽と言うより、構造的にも感覚的にも古典に近い物という感じだった。
噂どおり演奏は高度なエネルギーで行われる!大胆な言い方を試みれば、AUSIAはアコースティックパワートリオとでも言うべきか。速度のある演奏は、非常に精密で、力強く、ほとんどの曲の速度は速い。
曲は、生ギターとマンドリンの上に成り立つ。そして時に、狂わんばかりの熱情ほとばしるヴァイオリンと、呼吸音もあらわな、そして、どうしてもあのイアン・アンダーソンを思い浮かべてしまうリードフルートによって、ふんだんなソロがとられる。
私自身のアルバム視聴の方針として,作品と共に供給されるさまざまな情報や解説文には、極力ざっとだけ目を通すようにしている。何かを感じる前に他の感想や考え方で頭を支配される事から免れる事に有用だから。
何曲か終わり、しばしば感じていた事なのだが、もう一度この音楽が何かに似ていると評さざるを得ない気にさせられていた。
そこここに、匂い立つばかりの、非常に「ジェスロ・タルな」影響を感じるのだが、早急な結論は諌めていた。しかし、6曲目が終わってすぐ耳に飛び込んできたものは、編曲を施されたイアン・アンダーソンのような歌い口を持つ、『Mother Goose』以外の何物でもなかった。私は直ちに通常の方針を水に流し、机の上のライナーを大あわてでひっつかんで、その記憶が間違いないか確かめようとした。そして、注視のもと、あっさりとそれは知れた。
ほっとした。これで、読者に、この作品には確かに「タルな(Tullish)」影響があると言える。影響とは関わり無く、古典を受け入れる気持ちの強い聴衆に、この作品は楽しまれる事だろう。

それはそれとして、本作の実際の眼目は足立と一噌の曲作りにある。
特に『Housewarming in Alaska』が気に入った。ヴァイオリンと笛の間に偉大なインタープレイを持つ、幾分穏やかなこの曲。通常穏やかで内省的な楽曲を、機械的で好戦的なものより好む筆者には意外な事ではない。

どちらにしても、かさかさと言う作品は非常に完成され、楽しみの大きいアルバムである。大部分西洋的、残りは東洋的。少なくも興味深い。
評価:星8つ









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