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AXIOM OF CHOICE(オランダ)に掲載された
Jurriaan Hage氏によるレビュー


要約:ポセイドンレーベルはどうやら、多彩なフォーメーションの中で演奏を共に出来る、安定した、核となりうる音楽家を揃えたようだ。たとえば壷井はこのレーベルによって発売され、MUSEAと POSEIDONの協同リリースによって、ヨーロッパにも配給された様々な作品に名前を連ね、足立も最近発売された作品により評者にとって無名の者ではなかった。

その音楽性:『Vision That You Give』は、最初の、そして長めの曲で、それを支配する要素は足立のアコスティックギターと一噌の笛による達人技である。音は明るく、速く、アコスティック中心である。これをジャズと呼ぶ人もいるかも知れない(ディスクを受け取ったときCDDBは確かそう言った)が、実際には私は民俗音楽をより近しく感じた。形式はジャズ風なものより古典に方向が向いてさえいる。そこにヴァイオリンが加わると、さらにジプシー風の情熱が加わる。笛の奏法は揺れ動き、旋律の森を通して、時にとめどなくさまよう。循環する主題は素晴らしく、残りの部分のとりとめのない表情をより受け止めやすくする。このトリオの最も近くに位置するのはドイツのバンド、フレアークではないかと思う。

次の二曲は少し短めだが、それらの内の一曲目、『Night Dance』は最初の曲『Vision That You Give』とあまり違って聴こえない。ギターが力強い役割を演ずる中、ヴァイオリンがムーディーな演奏をする。『When That I Was A Little Tiny Boy(十二夜、子供の頃)』で、ギターはさらに開放され、笛とヴァイオリンは脇役を演ずる。歌が歌われ、ジェスロタルの民俗音楽的要素の傾向を多少感じる仕上がりになっている。

『Indian Rain』と言うトラックは、とても親しみ易い作品となっている。ほとんどの部分は多かれ少なかれ、ライブ録音された物と見える。音質は良く、私の耳には各楽器の音質の分離も良く聴こえ、各々の楽器に焦点をあてて聴く事も容易である。皮切りの曲の傾向の中では長めのテーマを持った曲と言える。最初の曲同様、曲構造はフレアーク調の要素を持っている。彼らの作品には古典音楽調の何かがあり、また民俗音楽調の物も含まれている。

『Housewarming In Alaska』は(いくつかの理由から)悲しげな曲であり、注意深く演奏されている。ヴァイオリンとフルート(何であろうと笛の類の意)が、それぞれにとらわれずに類似の並行するメロディを弾く中、ギターが循環するパターンを繰り返す。この曲には森の鳥達が立てる音に非常に似た音がある。

『Mother Goose』はジェスロタルのカヴァーで,歌が始まった後でひときわ目立つ何かになって行く。ヴォーカルのメロディは強力にタルのようである。

『Short Summer In Valhalla』のような曲は力強い演奏にも関わらず、何か過ぎ去った物に、新らしさをもたらす。『Lost On The Way Home 』はその曲のゆったりした速度が、聴く物を悲しみに沈ませる。ヴァイオリンはより重く、笛は少し控えめだが、同じ色調を持つメランコリックな作品である。音の色調は意図的に合わせられていると、言わざるを得ず、それは、少ない種類の支配的な楽器の使用と、類似した奏法を使っている故である。

『かさかさ』は最後に収められた曲で、これまでにもっとも長い曲。そこに至るまでに披露された、奏者による名人芸の全ての陳列であり、全体を通じ、より即興的で、ダンサブルとでも言うのであろうか。ヴァイオリンは泣き叫び、笛はあてどなくさまよう。ただ、少しせわしない演奏であるとは、あえて付け加えておくべきかもしれない。

結論: もしフレアークの初期が好きな人、そこから先を見ない人。ライヴ音源のように聴こえる、この3人の奏者の演奏は実に彼らに近く聴こえるはずである。強い民俗音楽の底流と、ジェスロタルと同様なラインのヴォーカル曲カヴァーを持つ。楽曲の速度は時に偉大な極みに達するが、ここにはロックは無い。奏者は巧みに情景を喚起させるが、購入前にあなたの好きな領域の音楽かどうか、確認すべきではあろう。









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